介護職は身体の不自由な老人や障害者を介助する重労働を伴うことが多く、腰痛など体を傷めることが避けられません。
いったん体を傷めてしまうと、そのまま勤務を続けることにより容態を悪化させてしまいます。
もし職場で事務職への配置転換などの措置を講じてもらえなければ、退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
介護職は介護福祉士などの資格を持っていれば合理的かつ効率的な介助方法を学んでいるはずですが、現場では習得したスキルを生かしきれずに健康を害することが多いです。

どんなに筋力トレーニングを積んだところで、増やせる筋肉の量は個人で差があります。
腰椎や関節を傷めるのは力の使い方が体の先端部である手足に集中するためで、体の枢要部である体幹を意識した力の使い方をすれば、自然と姿勢も変わって腰や関節への負担が減ります。
人間は体幹を使えば小さな動きで大きな力を出せるので、疲労も軽減されます。
体幹を使うと、全ての作業を自分の正面で行い、左右にずれないので要介護者の体重を体全体で受け止め、手足の一部に偏った負担が生じないように介助することができます。

こうした体幹を使った介助ができるようになるためには、簡単な体幹トレーニングが必要です。
例えば、体の中心部にある体幹を意識しながら片足で立ち、もう片方の足の膝を体の前に上げて逆側の手の肘を付けるようにします。
このまま20秒維持する訓練を両足とも毎日行うと、体幹を使いやすくなり介護で体を傷める可能性が低くなります。